院長コラム

解熱剤の使用について2018.03.25

お子さんが発熱した場合、いろいろな心配が頭をよぎると思います。このまま熱が下がらなかったらどうしよう、もしかしたら重い病気になってしまったのではないか、脳炎になってしまったらどうしよう・・・・・

感染症をおこしてもヒトが発熱しないとすると、実は大変なことなのです。そもそも発熱とは、体を守る働きなのです。ウイルスやバイ菌(細菌)が体に侵入すると、免疫が働き体を守るため体温が上がります。小児の発熱疾患の8-9割はウイルス感染が占めるといわれますが、ウイルスは高熱のほうが繁殖しにくいのです。すなわち体は体温を上げてウイルスが繁殖しにくい体内環境を作り出しているのです。漢方で風邪の初期に用いられる葛根湯や麻黄湯はわざわざ体温を上昇させ(交感神経を優位にさせ)、発熱しやすい状況を作っているのです。そうすることで、病気を早期に治癒へと導きだしているのです。

すなわち、解熱剤の使用は感染症からの治癒を遅らせる可能性があり、解熱剤はできるかぎり使用しないほうが、良いとされています。このため、38.5度以上の場合には解熱剤を使用してもかまいませんが、①ぐったりしている、②眠れない、③辛そうであるなどの条件を満たしているできるだけ使用しないように、心がけてください。お子さんの場合は、40度くらいでも、手遊びしたり遊んだりができている、水分が摂れる、笑顔など見られ比較的状態がよいなどであれば、できるだけ、使用しないようにしてください。

それから、発熱時のクーリングですが、首筋、わきの下、そけい部など血管が比較的体表に近い部分を集中的に冷やすと効果的です。